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【官能小説】『あたしの消せない履歴』
……この前、おとうさんのパソコンでネットをみてたら、へんなサイトを見つけた。
おとうさんは、このサイトを「お気に入り」に入れているらしい。
なんか、きもちのわるいサイトだった。
トップには、めがねをかけた女の子が本を読んでいる、デッサンの狂った絵が貼り付けてある(あたしは美術部だ)。
なんかその絵の女の子だけど、ショートカットで、めがねをかけてて、どことなくあたしに似てる。超きもちわるくなった。
なんなの、このへんなサイト。
18歳未満禁止、とかなんとか、超小さい字で書いてあるし。
でも、その時、家にいるのはあたしひとりだった。
おかあさんも、おねえちゃんも、しばらく帰ってこない。
気がつくと、そのサイトのトップページを眺めたまま、マウスのスクロールボタンの上で指を、くりくり、くりくりと動かしていた。
え、やだ。
何やってんだろ、あたし。
その指づかいが、自分でもなんか超やらしかったので、ひとりで焦ってしまった。
急に、熱っぽくなってきたみたいで、頭がぼうっとしてきた。
まあ、いいや。誰もみてないし。
履歴とかも、あとで消せばいいんだし。
あたしは、意を決してサイトのいちばん下まで行くと、まためがねの女の子の絵がついている(このサイトを作った人はよっぽどめがねをかけた女の子が好きなのだろう)バナーを、クリックした。
芸のないトップページが開いて、画面の下で、アクセス解析らしい手裏剣のマークが、くるくる、くるくるとバカにするみたいに回っている。
あたしはちょっとイラっときた。
これ作ってる人、あたしみたいな女の子が自分のサイト見てる、とか知ったら、やっぱり超コーフンしたりするんだろうか、とか余計なことを考えると、なんかざわっ、と鳥肌が立ってきた。
いちばん上に、「NOVEL」とあるから、このサイトは、いやらしい小説かなんかが読めるサイトなんだろう。
あっ……えっ?
なんで?
気がついたらあたし、「NOVEL」って書かれたぞんざいなテキストリンクをクリックしてた。
な、なにこれ……へんなタイトルがずらりと並んでいる。
お、おとうさん……こんなのこっそり読んでるんだ……あたしは必死に頭でおとうさんのことを呆れようとしたけど、考えれば考えるほど、なぜか心臓の鼓動と、呼吸がどんどん速くなってくる。
あたしは、ほとんど無意識に、スクロールボタンをくりくり、くりくりと転がしていた。え、なにこれ……「義父と暮らせば」って、どんな内容なの。「今晩中にできる女」って……そんなタイトルってひどすぎる。「必殺にしきあなご突き」って……もうわけがわからない。
Tシャツの中が、じっとりと汗ばんでくるのがわかった。
いつのまにかあたしは、鼻で息をしていて、そのせいでちょっとめがねが曇っていた。
あっ。
ま、また指が勝手に。
その中の……いま、思い出すのもおぞましいような小説のひとつのタイトルを……クリックしていた。
どれくらい時間が経っただろうか……あたしはその小説を、一気に読み終えていた。
そのときだった。
「ただいま~……あれ?加奈、いるの?」
お、お姉ちゃんが帰ってきたんだ!
そこではじめて我に返った……あわててパソコンの電源ボタンを押して強引にパソコンを切ると、立ち上がって、パンツの皺をのばしてから、忍び足でお父さんの部屋を後にする……。
さいわい、お姉ちゃんには見られずに部屋に戻り、ベッドにもぐりこむことができた。
心臓の鼓動は止まらなかった。
頭のなかでは、あのおぞましい小説の、数々のいまわしい、けがらわしい言葉がぐるぐると回っている。ほんとうに熱が出てきたみたいだ……すこしだけ、寒気がしてきた。
布団の中で太腿に手を伸ばしてみると、自分の手がとても湿っていて、熱くなってることに気付いた。
太腿のほうが、すこし冷たかった。
あっ、いけない。
お父さんのパソコンから履歴を消してくるのを忘れた。
まあ……いいだろう。
お父さんが帰ってくるまでに……またお父さんの部屋に忍び込んで、消すくらいの時間はたっぷりある。
でも、あのけがらわしいサイトの履歴は、あたしの記憶から消すことはできない。
あのサイトから、へんなウィルスに感染したみたいだ。
微熱と寒気が……交互にあたしの全身をなで回しはじめた。<完>
……というわけでわたくしのホームページ、
『西田三郎商店』(官能小説サイト)を約3年半ぶりに更新しましたので、
ここに記念Tシャツ3枚を宣伝させていただきます。
※サイトへのリンクは18禁です(笑)
……買ってね☆


by 西田三郎
心のこじきどもへ(嘲)